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いまさら聞けない!「MaaS」のあれこれ

2024.04.05

サービス・プロダクト MaaS

「MaaS」(マース)という言葉が日本で2018年に登場してから早6年。

「Mobility as a Service(サービスとしてのモビリティ)」の略称として、今や一般的な用語となってきたMaaSですが「サービスとしてのモビリティ」という直訳だけでは抽象的すぎて、なかなかその概念を理解できなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか?(自分もそのうちの1人でした)

この言葉が日本で使われ始めた2018年当時は統一された定義もなかったため、人によってその解釈がバラバラでした。また、紹介される事例も海外のものばかりだったので、1人のユーザーとしても、そして今後MaaS事業を進めていく担当者としても「MaaS」がどういったものなのかを実際に体験することは難しい状況でした。

しかしその後、様々な企業が実証実験などを行なってきた結果として日本国内でもいくつかMaaSアプリが登場し始め、近頃では実際に体験することが可能な状況になってきました。

そこで、今回はフォルシアが開発にも携わったJR東海ツアーズ社のEXサービスを例として扱いながら、改めてMaaSについての理解を深めていきましょう。

そもそもMaaSとは?

国土交通省では以下のように、MaaSを定義しています。

MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。

※ 国土交通省「日本版MaaSの推進」より

上記の定義からポイントを絞るとMaaSとは「移動手段と目的地におけるサービス等を含めた検索・予約・決済等を一括で行うサービス」と捉えることができます。

そのため、ただ単に移動サービスだけにフォーカスするのではなく、移動した後のサービスの利便性向上まで含めて考えることが重要だということがわかります。

MaaSの統合レベル

MaaSはそのサービスが扱っている情報の統合状況に応じて0〜4の5段階のレベルが定義されています。

レベル

定義

ユーザーの状況

レベル0

統合なし

単体サービスがバラバラに存在している状態。利用の度に、それぞれのサービスで料金や時刻を検索しなければならない

レベル1

情報の統合

検索や運賃の情報が1つのサービスに統合されており、複数の交通機関を利用した目的地までのルートを検索可能

レベル2

予約、決済の統合

複数の交通機関を利用した予約・決済までを1つのサービス、アプリで完結できる

レベル3

サービス提供の統合

交通機関だけでなく、レンタカーやタクシーなども含めた交通サービスを定額サービス / パッケージされた商品として利用できる

レベル4

政策の統合

提供されたサービスが街づくりに活用され、交通制御等でヒト・モノの流れをコントロールされている状態

参考:国土交通省, みずほリサーチ&テクノロジーズ

また、国土交通省ではMaaSの機能を三段階に分け、複数の交通サービスを統合した「コアなMaaS」に生活や観光サービス、そして社会インフラとの組み合わせをMaaSのモデルとして定義しています。上記のレベルに当てはめて考えると、コアなMaaSがレベル2、生活や観光サービスと連携するのがレベル3、そしてインフラの整備や街づくりと連携するのがレベル4となり、それぞれのレベルで達成すべき状態がよりイメージしやすくなります。

maasmodel02.jpg
参考:国土交通省「MaaSモデル」

今の日本のMaaSレベルは?

現状の日本のMaaSレベルは2023年初頭の段階でも、未だレベル1の状態だと言われていました。

交通機関の乗り換え案内サービスは数多く存在し、目的地までの複数の交通機関を使用した場合のルート検索はすでに可能でしたが、予約・決済までを行うことができるプラットフォームは、自社サービスのみに限定されていました。

都市部などでは交通系ICカードの普及により、複数の交通手段やサービスの決済方法として利用可能な状態のため、レベル2は一部実現できているという考えもあります。

運営母体が異なる複数の移動サービスを統合したプラットフォームの実現には、事業者間のデータ連携や運賃・料金の柔軟化、キャッシュレス化などの課題があるため、レベル2に到達するために今もなお様々な実証実験が繰り返し行われています。

フォルシアが携わったMaaSサービス

では実際に当社が開発に携わり、展開しているサービスの事例としてJR東海ツアーズ社のEXサービス(EX旅先予約・EX旅パック)を例として詳しく見て行きましょう。

WEB CMで「EXサービス」をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか?

exwebcm_capture.png

参照元:「スマートEX」 公式YouTubeチャンネル(https://youtu.be/4Z_-Re8YQJY?feature=shared

※ EXサービスについては当社のプレスリリース導入事例で詳しく紹介しております。まだご覧になっていない方は是非!

EXサービス ~日本MaaSの最高峰に~

トラベルジャーナル2024年1月15日号の大特集にて、観光産業を変化させるキーワードの一つとして「広域MaaS」が選出され、記事内ではフォルシアも開発に携わったEXサービスについて下記のように紹介されていました。

出張族の新幹線予約に特化していたJR東海がアプリを観光客向けサービスへと大拡張。ある意味MaaSの最高峰に

※ トラベルジャーナル2024年1月15日号「キーワードで占う2024年」より

これまでのEXサービスは新幹線の予約・決済・発券などが可能なサービスでした。しかし昨年2023年10月に開始した「EX旅先予約」「EX旅パック」ではホテルや観光施設、レンタカーなどの2次交通を含めた予約が可能な形に刷新されました。
これはまさにMaaS+生活・観光サービスのモデルを実現しており、今まで日本にはなかったレベル3の「サービス提供の統合」という段階まで一気に進めたと言えます。

フォルシアでも早速新しくなったEXサービスを利用して旅行した社員たちがその使用感をフィードバックしてくれました!

「新幹線取ってホテルとって...と別々のアプリやサイトを見ていくのは面倒ですが、全て一括で、しかも変わらずEXアプリで入場できる便利さ!最高!」

「新幹線の時間について子供連れで急な時間変更にも対応できて便利」

「列車の時間や座席変更がギリギリまでできるのはやはり物凄い便利」

「普通に新幹線だけ予約するより楽しい」

などなど、MaaSの便利さを享受した声が聞こえてきました。

フォルシアの今後の取り組み

移動サービスとしての利便性はEXサービスだからこそ実現できた部分ではありますが、様々なサービスを一つのアプリで扱えるようになったことはwebコネクトの真価と言えます。
今後も連携先を拡充していく予定ですので、MaaS実現のために立ちはだかる事業者間のデータ連携という課題にも大きく貢献出来ると考えています。

検索から予約・決済までを一気通貫したシステムを0から構築することは開発コストと時間がかかりますが、webコネクトであれば自社の交通素材と宿泊・着地などを組み合わせたワンストップサービスを早期に実現することが可能です。

先日、当社がシステム提供を行ったゼンリン社の「STLOCAL」も地域観光型MaaSサービスです(プレスリリースはこちら )。
日々、MaaSサービスが拡大しているのを実感しますね。気になった方は是非チェックしてみてください!

この記事を書いた人

中川 幸希

昨年12月に引っ越しましたが、未だに段ボールが片付きません。
東京拘置所の近くに住んでいます。