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FORCIA Meetup #3 専任メンバー0人でも技術広報の活動を継続することができているワケ

2021.09.15

FORCIA Meetup エンジニア セミナー・勉強会

こんにちは、技術研究所エンジニアの松本です。

本日も引き続き、エンジニアがテーマに沿ってLT(ライトニングトーク: 10分程度の発表)を行うイベント「FORCIA Meetup」の内容をお届けいたします。過去の記事はこちらをご覧ください。

FORCIA Meetup #3 エンジニアとして技術を"伝える"技術

8月10日開催のLTのテーマは「エンジニアとして技術を"伝える"技術」

夏休みシーズンに合わせてのサマーインターンの開催や、新入社員が本格的に業務に参画するこの時期だからこそ、4人のエンジニアがそれぞれ"伝える"をテーマに登壇しました。イベントの詳細はこちらをご覧ください。

今回は、専任メンバー0人でも技術広報の活動を継続することができているワケについてご紹介します。イベントの雰囲気が少しでも伝われば思いますので、ここから先は書き起こしスタイルにてお届けいたします。

専任メンバー0人でも技術広報の活動を継続することができているワケ

髙橋:それでは私から『専任メンバー0人でも技術広報の活動を継続することができるわけ』というタイトルで、LTを始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

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簡単に自己紹介なんですけれども、先ほど話していた谷井(司会)と同期入社の新卒3年目のエンジニアになります。部署紹介でもあったんですが旅行会社のECサイトのアプリケーション開発をメインの業務としております。今日は技術広報というチームの話をしようと思っているんですが、技術広報は2年前に社内に発足したチームになります。先ほどの会社紹介・部署紹介だと結構縦割りというか、業種ごとに分かれていたんですが、それとは別に社内を横断するエンジニアの組織が何個かありまして、技術広報はその1つですね。あとは技術教育などもそのようなチームになります。
今年からその技術広報チームのリーダーを私が担当しています。後ほど詳しく話をさせてください。マイブームは読書とサウナです。

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本日のアジェンダなんですけれども大きく2つ、「Why技術広報」と「How技術広報」という2つのテーマについて話します。
初めに何で技術広報をやるのか、何のためにやるのかというところの話をスタートに、後半ではどのように技術広報を運営しているのか、特に結構少ない人数でかつ専任メンバーもいないチームなので、そういう中でどういうふうに仕事を割り振って成果を出していくのかっていうところの話をできればと思っております。

ちょっと一回質問なんですけれども、本日いらっしゃってる方の中で、会社に技術広報チーム的なチームがあるよっていう方ってどれくらいいらっしゃいますかね、コメントとかで反応していただけると嬉しいんですけど。多分そんなに多くはないのかなと思っていて。はい、ありがとうございます。ありがとうございます。あのせっかく手を挙げていただいて恐縮なんですがみんな社内の人です(笑)。はい、そうですね。フォルシアには技術広報チームがもちろんあるんですが、他の会社だと、無いところも多いかなと思います。

技術広報とは

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なので、そもそも技術広報って何かっていうところから話をできればと思っております。まずフォルシアにおける技術広報チームの成り立ちについてなんですが、2019年の中頃ぐらいまでは数名の社員が外部向けのイベントの企画ですとか技術ブログとかを社内のブログに書いて投稿するみたいな活動を半ば個人的にといいますか、ゲリラ的にといいますか、そういう形でやってました。

何度かイベントをやって、人をオフィスに集めて開催することができていたんですけれども、それを企画していた数名に結構負荷が集中したりですとか、そのイベントを開くっていうことのノウハウがどうしてもそこの人たちに集中してしまうような問題がありました。また、通常の業務が忙しいとどうしてもイベントが開けないとか、そういう問題も起きたりしていました。

以上のような問題があったので、2019年の10月9日に技術広報が発足して、松本、髙橋、谷井の3名でスタートしています。初めの目的としては先ほど話したどうしても数名にノウハウが集中してしまうというところを、社内にちゃんと蓄積していけること目標に立ち上げたという形になっています。

3人で初めて、週次のミーティングとかを通して持続可能な活動をしたりですとか、あとはこれまでできなかった新しいイベントの立ち上げ、今日やってるFORCIA Meetupなんかも発足当時に企画して今でも続いているというようなイベントなんですけれども、そのイベントを立ち上げたりですとか、またはノウハウの文書化とか、その辺りを行ってきました。設立からだいたい2年ぐらい経っていまして、今ではメンバーも少し増えていて、技術マネージャーですとかあと広報の担当の方ですとか、今年入社したエンジニアの方にも関与してもらって人数を増やしてパワーアップをしているところになります。

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技術広報のミッションとして始めに掲げたものがこちらになります。
大目標はエンジニアにフォルシアで働きたいと思ってもらうっていうところを掲げています。それをするための具体的な目標もう少し小さな目標として、フォルシアの認知度を向上させる、技術面でフォルシアの存在感を向上させる、あとそのために広報、採用広報チームと連携するというところを目標にしてきました。
ざっくりまとめると、社内の技術的なトピックっていうのをどんどん外部に発信していくことで、フォルシアの技術的なプレゼンスを上げていこうという活動に取り組むチームとなっています。

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具体的な活動なんですけれども、3つ挙げています。

まず、外部向けの勉強会・イベントの開催です。今日やってるFORCIA Meetupなんかもまさにその1つなんですけれども、他にRustっていうプログラミング言語のLT会のShinjuku.rsとか、後は競技プログラミングをしている社員が多くいるのでその競技プログラミングのイベントなんかも開催しています。当時はオフィスでイベントを開催していたので、会議室を貸切って、人を呼んで開催していたんですが、今は全部オンラインで開催しています。

あと他にもアドベントカレンダーの運営などをやっています。アドベントカレンダーっていうのはITエンジニア的な職業の方はご存知の方も多いかと思うんですが、12月1日から25日まで毎日あるトピックに沿って記事を更新していこうというお祭り的なイベントですね。フォルシアも社内ブログがあるので、数年前から毎年このアドベントカレンダーというのを企画しています。その運営を技術広報チームが担当しています。あと細かなところの仕事でいうと、今日発表で使っているスライドのテンプレートの作成をしたりですとか、あとはconnpassで公開されている外部のイベントを社内向けに逆に紹介してあげるみたいなことをして、社内のエンジニアにもそういうイベントに興味を持ってもらうみたいな活動も行っています。

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はい。そういう活動を通して、ちょっと手前味噌にはなるんですが、どういう成果が上げられたかっていうところの紹介をさせてください。
書籍の監修を1つやりました。先ほどRustのイベントやってると思ったんですがそれの伝手もあって、『実践Rustプログラミング入門』という本の監修をフォルシアが担当させていただきました。執筆していただいてる方はフォルシア以外の会社の方もいらっしゃるんですが、監修をフォルシアが担当していて執筆者の1人もフォルシアが担当しているようなものになります。何度か増刷もされていて、それなりにご好評いただいているという認識です。

右側がですね、ログミーテックっていうオンラインメディアがあるんですけれども、そこにFORCIA Meetup #2の書き起こし記事の掲載をしていただきました。こちらの6記事ですね。やっぱりどうしても社内のブログとか社内のこのイベントだけだとどうしても人の目に付く機会っていうのが限られてくるんですけれども、こういったメディアにも目をつけていただいたおかげで露出の機会も増えていたりします。

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そんなこんなで活動をいろいろとしてきているんですが、技術広報には専任メンバーは今のところいません。エンジニアはWebアプリケーション開発をメインの業務にしていて、その副業といいますか、傍らで技術広報の活動をしております。先ほど紹介した中にもいろんな業務があったと思うんですが、人数が少ない中でどうやってこれまでの活動をやってきたかっていうところを、後半でちょっと紹介させてもらえればなと思います。話としては技術広報だけに限らない他の業務にも活かしていただける内容かなと思っておりますので、聞いていただけると嬉しいです。


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まず初めに、人数が少ない中でどういうふうに活動してきたかというところの簡単なまとめから入るんですけれども、3つ挙げています。

1つが週次のミーティングの中でのTODO確認、特に担当者と期限を明確にするっていうところを徹底してやってきました。毎週技術広報でミーティングを行っているんですけれども、その中で上がった議題とか取り組みに対して、必ずその最後に担当者と期限を決めて、いつまでに誰がやる、ボールをはっきりさせるっていうところがまず1つ大事にしていることです。

2つ目が、ことあるごとに振り返りを実施することです。イベントの開催の後などアドベントカレンダーとかが終わるたびにチームで振り返りを行って、その振り返りの結果を記事にまとめて残しています。振り返りの際はKPT法と呼ばれる方法を使っていて、Keep(継続していきたい所), Problem(良くなかった所)を挙げてそれをもとにTry(今後やっていくこと)を考えていくという手法です。上がったTry(今後やっていくこと)に対しては先ほど同様、担当者を決めて実践をしていくということになります。

3つ目ですがノウハウの蓄積とフローの仕組み化を大事にしています。上の振り返りで得た知見を社内ドキュメントに溜めるのがノウハウの蓄積で、さらにノウハウを個人に溜めずに何とか仕組み化できないかというところも模索しています。

まとめると上2つが効果的な活動をしていくための仕組みで、下1つが効率的な活動をしていく仕組みとして大事にしているところになります。残りの時間で具体的な例を簡単にざっと見ていければいいかなと思ってます。

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初めにミーティングの進行のテンプレートを載せています。毎週ミーティングしていると言ったんですが、このテンプレートの記事を作っておいて、これをコピーする形でミーティングに使っています。テンプレートには、今週の進捗を書くところと、その次にMTG中に話したいところ、最後に次回までにすることという欄があります。これをミーティングまでに事前記入してミーティングではそこで上がっている議題について話すというような形をとっています。

やっぱりどうしてもミーティングの中で、白紙のところからアジェンダを作っていったりとか話したいことを上げていくとどうしても議論がごちゃっとなってしまうので、事前に上げておくところが大事なところの1つですし、もう1つは先ほどから何度か言っているんですが、TODOをはっきりさせるっていうところですね。担当者と期限っていうのをここではっきり決めるってところがポイントで、かつそれがそのテンプレートになっていることで、毎回意識しなくても自然とできるってところがコツかなと思っています。

Slackのワークフローで漏れなく準備

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はい、次の例です。外向けの勉強会を開催してるって話をしたんですがその開催の手順っていうのが結構煩雑なんですね。社内のイベント申請だったりとか、現地でやってたときは会議室の申請ですとか、何かと段取りが多いです。それっていうのもいくつかの方法で何とか手順化しようというところをやってきました。その1つがこのSlackのワークフローっていう機能を使っています。Slackのワークフロー機能って結構地味というか、Slackを使われる方でも使われてる方多くはないかもしれないと思っているんですが、結構便利な機能でして、事前にこういう流れを作っておいて、開始すると、こういう投稿が来まして、例えばこれでいうと会議室の申請書を出してくださいみたいのが書かれています。


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これが終わったらですね、下の方に次に進むボタンがあって、終わったよってのを押すと、次の通知が来て、次は例えば飲食の注文だよっていうのが来たりします。これで誰がやってもこの手順に沿ってやっていくと自然と準備ができるような体制を整えています。あとはそうですね、最近のイベントはオンラインで開催しているんですが、ツールは日頃仕事で使い慣れているGoogle Meetを使うってところだったりとか、あと過去のイベントとかはスプレッドシートにまとめて、アンケートだったり、アンケートの結果だったりとか、イベントレポートの記事とかを全部まとめて見れるような形にしています。

アドベントカレンダー運用改善

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次はほぼ最後のトピックになるんですが、アドベントカレンダーの運用の改善というところを紹介させてください。アドベントカレンダーは冒頭で話したんですが、25日毎日記事を投稿するっていうところで、結構運用が大変です。実際記事を書いてもらうのも大変ですし、書いた記事をブログに投稿する形に変換するのも結構手間がかかっています。もともと有志でそれをやっていたんですが、2019年度から技術広報チームが運用を開始しています。

取り組んだ初めの年も、組織的に声かけとか、あとは書いてもらった記事のレビューとか締め切りの管理とかやることはできたんですけれどもどうしても仕事が多い、技術広報チームのメンバーの負担が大きいっていうのが課題としてありました。そこで2020年度、次の年からですね、GitLabを使って運用を効率化できないかっていうところを取り組んでいきました。GitHub使われてる方も多いと思うんですが、フォルシアはGitLabを使っていて、Issueとカンバンっていう機能があるのでそれを使ってフローを効率化したという話になります。

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右側に映っているのがそのkanban boardですね。このちっちゃいのがissueの1つになります。2019年度まではGoogleドキュメント的な社内のドキュメントツールを使って書いてもらって、そのURLとかで管理をしていたんですけど、結構とっちらかっちゃうという問題があって、それが運用を手間を増やしていたので、こんな感じでGitLabのissueとkanban boardというのを使うと、1個1個の記事が今どういうステータスなのかがわかりやすいです。あとレビューについてもgitなんで、かなりやりやすいですね。一覧性が向上するっていうのと管理の手間を非常に減らすことができました。記事を書くときもGitLabのissueににテンプレートという機能があって、こういう観点でちょっとレビューしてくださいっていうのを記事を書く方にテンプレートを使って起票していただいています。

という形で、それまでは毎回毎回一人一人声掛けをしていた部分っていうのをGitLabを使うことで、仕組みに落とすことで手間を大幅に減らすことができたという取り組みになります。

髙橋14.pngこれはちょっとおまけで載せているんですが、社内にイベントの告知・紹介をしてるって言ったんですけど、それもGoogle App ScriptとSalckのAPIを使ってconnpassからイベントを取ってきて、これを元にイベントを出力して、それを見ながらイベントを紹介したりしています。

Future Work

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そんな感じで仕組みを作って、少ない人数ながらも活動しているんですけれどもまだまだ課題はあるなと思っていまして、Future Workとして載せました。

1つがメンバーが増えても活動の継続っていうところで、これまで活動の仕組み化とかを取り組んできたんですけれども、そうは言ってもメンバーは当初の三人はまだずっといるままなので、今後ちゃんとメンバーが増えても同じようにその仕組みを使って活動を継続できるかっていうところを確認していきたいっていうところが1つです。

もう1つ、こっちがすごい大事だなと思ってるんですけれども、活動の質の向上というのを今後はやっていきたいです。定期的にイベントとかは開催できるようになったんですけれども、それがフォルシアの認知度の向上とか採用にどれぐらい結びついてるかっていうところの効果の計測とか、質を高くアップさせるっていう活動はまだ正直ちゃんと取り組めてないかなと思っています。広報活動の効果測定が難しいというところが大きな要因としてはあるんですけど、仕組みがこんだけできたので、質の向上というところにも意識を集中して今後は取り組んでいけると思います。

まとめ

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まとめになります。専任メンバーがいなくても活動を継続できているのは徹底的な仕組み化のおかげかなと思っています。SlackですとかGitLab、スプレッドシートとかは効率化の強い味方なので、今後もどんどん使っていきたいなと思っています。フューチャーワークとして、今後は活動の効果の測定とか、質の向上とかに取り組んでいきたいなと思っています。それでは私からの発表は以上になります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

谷井(司会):ありがとうございました。私も技術広報メンバーとして一緒に携わってきた内容なのでなかなか感慨深いものがありますね。全体を通して、もうちょっとここは聞きたいみたいなポイントがあったりはするんでしょうか?

Q: 効果測定で現状何か考えている方法はありますか

髙橋:うん、そうですね。本当にいろんな手法というか、いろんな測定指標とかはあるんですけど、例えばブログだと、一番分かりやすいのがビュー。何人が見てるかっていうところとか、あと見てる時間測定が一番基本的なところになってくるかな。あとはどんだけSNSとかで拡散されているかですね、TwitterとかはてブとかそういったところにそのFORCIA CUBEってフォルシアの社内ブログで投稿した記事がどんぐらい拡散されてるかっていうところをちゃんと記録を取って測定できる形を一覧で見れる形にしたいなと思っていたりします。

Q: チームのメンバーの負荷というのは仕組み化で解消できているのでしょうか?具体的にこんなことやったよみたいなものがあれば教えていかなければと思います

髙橋:そうですねチームメンバーの負荷の解消というのでいくと、例えばアドベントカレンダーの運用負荷が大きいって話をしていたと思うんですけど、それに対するGitLabの活用というところでかなり負荷が解消したかなと思っています。あとそうですねイベントとかも立ち上げ1年目だとどうしても慣れてないってところがあって、手探りでやっていたっていうところに負荷があったんですけれども、文書をまとめておくことで、ある程度手順に従って何も考えなくても準備ができるって状態にあるので、思考にかかる負荷とかもかなり減っているかなと思います。

谷井:そのあたりの仕組み作り・仕組み化みたいなところは、特にエンジニア自身がこういう活動をやってることによってぱっと手を動かしてこういう仕組みを自分たちで作れるので、エンジニアがこういう活動に直接参加する強みだなと思います。

髙橋:これは本当におっしゃる通りですね、私も広報にはあまり強くないエンジニアなので、その詳しい専門家ではないんですけれども、そういう仕組み化あたりはかなり強みを発揮できた部分かなと思います。

おわりに

エンジニアとして技術広報におけるコストと属人化を仕組みで防ぐ取り組みを話していただきました。"small start dev promotion" のスライドで説明されているKPT法や短いスパンでの振り返りはアジャイル開発的な運用といえると思います。エンジニアの知見を活かした仕組み化・自動化が行われており、エンジニアがターゲットに近い立場という点以外で広報活動に参加する意義を感じました。

次回イベント告知

次回のフォルシア主催イベントはRust言語についてのLT会、Shinjuku.rsです。
Shinjuku.rsでは、Rustを商用利用した話、Rustでこんなものを開発した、Rustの面白い仕様を紹介したい、Rustにcontributeしたなど、Rustに関連する内容ならなんでもWelcomeです。

10月26日(火)Shinjuku.rs #18

ぜひ上記リンクよりご参加のお申込みをお待ちしております。

この記事を書いた人

松本健太郎

技術研究所所属、2016年新卒入社のエンジニア。
オンラインイベントでも登壇者に聴衆からフィードバックできる懇親会をしたいなと考えています。