価格競争に陥らない アイデアで新たな価値を与える宿泊プラン
こんにちは、ホテ研の伊藤です。
弊社史上初の原則リモート勤務体制だった自粛期間も明け、弊社の勤務スタイルもリモート勤務と出社が半々くらいになっています。
そんな新しい生活様式の中で迎える夏休み期間、行政も「ワーケーション」や「マイクロツーリズム」といった観光目的以外の旅行を薦めており、今こそ宿泊施設自体の魅力のアピールが集客の鍵となるのではないでしょうか。
本日は、通常の宿泊プランに独自視点のアイデアをプラスした、ユニークなプランをご紹介します。
ユニークな宿泊プラン事例
一日中作業に没頭 卒論執筆パック
一つ目にご紹介するのはThe Ryokan Tokyo YUGAWARA(神奈川県箱根)の「卒論執筆パック」です。
夜食も含む一泊4食付で、期間限定・学生限定で発売されたプランです。
滞在中はコーヒー・紅茶が飲み放題、さらにエナジードリンクのプレゼントもあり、まさに卒論を執筆するには最適な環境にこもって一日中作業に没頭できます。
同パックが好評につき、現在では通年で誰でも利用できる「大人の原稿執筆パック」も販売しているとのことです。
文豪の町で 文豪缶詰プラン
続いてご紹介するのは鳳明館(東京都文京区)の「文豪缶詰プラン」です。
その名の通りチェックインからチェックアウトまで旅館から出られないプランで、編集者に扮した従業員からの「進捗確認コール」など宿泊者が実際に文豪になった気分を体験できるような様々なオプションが設けられています。
好評につき、現在第四弾の予約を受け付けているとのことです(もちろん感染防止対策は徹底)。
宿泊プラン設計のポイント
上記二つの事例から考察したポイントは以下です。
体験に理由を与える
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宿泊施設:空いてしまう時期の稼働を埋めたい
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顧客:費用を安く抑えたい
という二者をマッチングすればよさそうな一方で、施設としては「安くなる宿」という印象を持たれたくないという事情もあると思います。
たとえば、「まとめて1週間予約することで一泊当たりの料金が安くなる」など、お得になる理由をつけ特別感のある商品にして販売することで、単なる安売りのイメージを避けることができます。
使ってくれる人のシーンを想像し、自施設ならではの背景・サービスをつけて商品化
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一人で集中したい
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家族は休み、自分は仕事をしたい ※ワーケーション or ステイケーション
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住居代わりにしたい
長期間のまとめ借りも借りる人によって様々なシーンが予想されます。
上記二つの事例は、これらのシーンのなかで、自施設が一番強みを発揮できるターゲットを定め、サービスを磨き込んでいるように思います。
たとえば「家族連れが多い施設」×「家族は休み、自分は仕事をしたい」であれば、子供向けの教室やアクティビティを施設が提供・一時的に預かってくれるサービスがあると、子供が楽しんでいる間に両親が自分の時間を使えるようになります。
宿泊以外の需要
ホテルは贅沢な個別空間です。これからは旅行・出張の宿泊以外でも、活用される機会が増えていくと予想されます。
泊まりたいからではなく、一人になりたいから、一人で集中したいから来る。
年に何度も利用するサービスにできるか等の課題はあるものの、設計次第ではカフェや自習室の競合にもなり得るのではないでしょうか。
おわりに
ホテ研は逆境に立ち向かう宿泊施設を応援しています。私たちホテ研も、コロナ禍の旅行業界へ何か貢献したいという社内有志メンバーのアイデアから発足したプロジェクトです。
これからも宿泊施設の皆さまがwithコロナの経営を乗り切るヒントとなるようなニュースを発信していきます!
伊藤
ホテル・旅館研究室 所属
withコロナの旅行業界を研究していきます。
自粛期間中はお皿洗いの研究にフルコミットしていました。