FORCIA CUBEフォルシアの情報を多面的に発信するブログ

これからの「検索」の話をしよう TOKYO2020を控えた今、現れた変化の兆し

2018.06.20

2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピックまであと2年あまり。日々の生活の中ではなかなか実感することがありませんが、長い目で見ると時代は刻々と変化しているもの。かつて東京五輪が開かれた1964年は、東海道新幹線や東京タワーが開業し、その後カラーテレビ普及の契機となった年でした。暮らしの変化は、節目となるイベントの開催が起爆剤となって一挙に実現する場合もありますが、新たな製品やサービスが徐々に家庭や職場に普及していくことで少しずつ実現していく場合もあります。

今回は、インターネット上における人々の暮らしに欠かせない「検索」の未来がどうなっていくか、考えてみることにします。

20年後の今も変わらない普遍的ニーズ

下記はオンラインサービスの変遷について整理した概念図ですが、この左端に「情報検索」というメニューが出てきます。歴史を紐解くと、Googleが誕生したのは今からちょうど20年前の1998年。当時はインターネットが黎明期から成長期にシフトするタイミングで、情報量の爆発的な増加が語られ始めた時期でもありました。それまで主流だったディレクトリ型の検索エンジンに対抗するロボット型の検索エンジンとしてGoogleが登場し、瞬く間に世界のトップに昇りつめたことは今さら説明するまでもないですね。WEB上に広がる無数のサイトの中から、ユーザーの指定する「キーワード」にマッチした情報を探し出し、その「候補」をリスト表示する。普遍的なニーズに根差した、この構造は20年後の今も基本的に変わっていません。

future20180611_2.pngのサムネイル画像 (出典)総務省「スマートフォン経済の現在と将来に関する調査研究」(平成29年)

日韓共催のサッカーW杯が開催されたのは2002年のこと。この頃、(日本の)インターネットの中心にいたのは携帯電話、今でいうガラケーです。中心を担ったサービスはiモード。当時は通信回線速度や端末スペックの問題があって、情報にたどり着く際の「サクサク感」が今以上に求められた時代でした。この後、スマートフォン時代を迎え、パソコンで表示される検索結果と同じ内容がモバイル環境でも見られる世界が実現しました。「検索」の目線では、パソコンよりも小さい画面のなかでユーザーが求める情報により早くたどりつくための技術が求められる段階にシフトしました。限られたスペースの中では、どうしても表示できる件数が限られるため、検索結果の候補も厳選して表示する必要があります。結果として、表示する情報を上手に見せるUI/UXの技術が進化することとなりました。

「選択肢」の提示から「答え」の提供へ

そのスマートフォンについても誕生から10年、新たなデバイスとして最近注目を集めているのが、本ブログの他のエントリーでもご紹介したスマートスピーカーです。人々のライフスタイルのなかでスマートフォンに置き換わるイメージはあまり湧きませんが、パソコンからスマートフォンヘと基本構造を変えないまま20年進化し続けてきた「検索」に質的変化をもたらす可能性があります。

future20180611_1.png

なぜか。言うまでもありませんが、スマートスピーカーというデバイスは、音声でコミュニケーションする端末ということで、(現時点では)画面を備えていません。パソコンやスマートフォンの検索と同じような仕様で、「〇〇、フォルシアを検索して」と指示して「16万件の検索結果があります。1件目は~、2件目は~」と丁寧に説明してもらっても役に立たないですよね。従って、スマートスピーカーでの検索で求められることは、結果の「候補リスト」ではなく、要求への「答えそのもの」となります。

その道の詳しい人にアドバイスを求めるように、「機械」に質問し答えをもらう。手元にスマートフォンをもっていなくても、ハンズフリーで操作できる。そのような暮らしの変化への対応が「検索」にも求められています。

ポスト2020、検索の未来を考える

フォルシアでは、ポスト2020年のライフスタイルの変化を見据えた社内ディスカッション「Future MTG」を定期開催し、「5~10年後の検索はどうなっているか」といったテーマについても議論を進めています。その内容について少し紹介します。

  • 「検索したい」という欲求は不変
  • 「選択肢」の提示から「答え」の提供へ
  • 新しい時代の検索は「ステルス型」に

求めている情報を探し、出会うためのツールとして「検索」がなくなることはない。これは、上記インターネットの歴史を振り返るくだりでもご説明しました。「選択肢」の提示から「答え」の提供へ。今後インターネットがさらに普及し、これまで縁がなかったユーザー群が使うようになってくると、提供する「価値」の方向性は間違いなく変化していくことでしょう。

これからの検索に求められるもの、それはユーザーを最適な答えに導く質問力だと考えています。リアルな店頭での接客が実現しているような、対話による顧客のニーズ把握、最適な選択肢の提案がオンライン上の取引でも求められていくと予想しています。「キーワード」「属性」といった検索に必要な条件をユーザーに意識させずに情報を絞り込む。そしてそれが顧客ニーズにジャストフィットするよう日々補正していく。新しい時代の検索はユーザーの眼に見えない「ステルス型」になっていく、そんな未来を思い描いています。

では、その「Future」を見据えてフォルシアではどんな準備を進めているのか?この説明はまたの機会に。

この記事を書いた人

経営企画室長 洲巻圭介

日本出版販売、朝日新聞社の経営企画部門を経て2016年10月よりフォルシアへ。
営業と技術、さらに広報を連動させた新たなビジネス開発体制の構築および、新規事業領域の開拓に取り組む。