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急速に拡大するスマートスピーカー市場 家庭への普及のカギは「スキル」の充実

2018.04.25

営業本部の今野です。いよいよ、Amazon Echo 一般販売が日本でも開始しましたね。 フォルシアは同端末が日本市場に紹介される前(2017年)から、スマートスピーカーを使った提案や開発を行っています。(プレスリリース)

今回は、スマートスピーカー市場の概観をお伝えしたいと思います。さほど深い話題には言及していませんが、全体感をつかむための手助けができれば幸いです。

スマートスピーカーとは

スマートスピーカーは、人間の発話(音声)を理解し、与えられた指示を遂行する端末です。入力・出力は音声が主となるため、スピーカーを備えています。スマートフォンが外出時の必需品であるならば、スマートスピーカーは家の中における生活必需品となるでしょう。部屋の灯りの操作や、ピザの宅配注文、天気予報の取得などを音声のみで行うことができるため、一度生活の中心に据えられたなら「スマートスピーカーなしの生活が想像できない」と思われる方も多いようです。

各種スマートスピーカーの特徴

各企業からスマートスピーカー関連の商品を登場していますが、ここで重要な区別をしておかなければなりません。スマートスピーカーはPC業界と同じように、「ハードウェア部分」 と 「ソフトウェア部分 (自然言語処理技術やスキル) 」を分離して考える必要があります。最もコアとなるのはソフトウェア部分で、Amazon Alexa や Google Assistant をはじめとする自然言語処理を可能にする AI や、世界中の開発者が開発するスキル (スマートフォンで言うところの、アプリ) がユーザーの体験を左右するといっても過言ではありません。

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普及状況

日本にいるとさほど感じないかもしれませんが、米国を中心に、スマートスピーカーは急速に拡大しています。調査会社 Gartner によると、2017年Q1に7%だったスマートスピーカー導入世帯は2020年Q4には75%に登ると予想されています。Facebook と Cambridge Analytica を巡るプライバシー問題を筆頭に、個人情報の取扱いに関する懸念はあるものの、スマートスピーカーの利便性を否定するほどの材料にはなっていません。

今後、自然言語処理技術 (音声 <--> テキスト) の進展が進むにつれて精度は高まり、ユーザビリティの改善が進むことは明確です。また、異業種へ浸透することでネットワーク効果が生じ、スマートスピーカーの経済圏が拡大していくことが予想されます。サードパーティの参入も含め、数年に渡り活気づき、生活の中心に置かれる端末としての普及が期待されています。

そのなかでも、キープレイヤーは Google と Amazon でしょう。2017年12月時点では、スマートスピーカー端末の7割がAmazonの端末 (Amazon Echo等) となっています。一方の Google も、これまでに集積してきた膨大なデータを活用して一気にキャッチアップしています。Amazon の端末では 'Google検索' が利用できず、Googleの端末では 'Amazon' を利用できず、巨大サービスを擁する企業同士の争いが繰り広げられています。

「アプリ」 ではなく、「スキル」

スマートフォンの機能がアプリによって拡張されていくのと同様、スマートスピーカーもスキルを有効にすることで機能を拡張していくことができます。

※ Amazonプレスリリースより alexa-top20.PNG

日本市場におけるスキルランキングは上図の通りですが、先行して一般発売がなされた米国の人気ランキングでは、高評価のスキルの3割以上はスマートホーム関連のスキルとなっています。日本でもスマートスピーカーに対応した家電機器の普及が進むにつれ、スマートホームスキルが占める割合が増えていくことが予想されます。(家屋が広い米国では音声による操作の利便性は日本以上なのでしょうが。)

スマートフォンで提供するアプリの延長線上で考えがちですが、アプリとスキルとでは違いもあります。主なポイントは3つあります。

1. 目的の明確化がこれまで以上に大切

スマートスピーカーには画面がありません。ユーザーに提供できる情報は限られているため、求められている情報をピンポントで提供することが必要になります。

  • どのような利用シーンを想定しているか
  • スマートフォンアプリやウェブサイトとの棲み分けはどのようにするか
  • 提供するスキルにおける「コンバージョン」はなにか
  • 氷山の一角ですが、こうした項目について念頭におくことで、スマートスピーカーのスキルがビジネスのエコシステム強化につながると考えます。

    2. インフラとして、生活に溶け込むことを念頭に考える

    スマートスピーカーを利用してみると、原則として、ユーザーが「選ぶ」ためのUIになってはいないことに気づきます。スマートフォンであればアプリがズラリと並ぶホーム画面から利用するアプリを選択することが一般的ですが、スマートスピーカーの場合には有効化されているスキルを端末から確認することはできません。スキルの利用格差はますます開くと想像されます。

    「1つのことを、完璧にこなす」ことをベースとし、幾多あるスキルのなかでもデファクトスタンダードとなることを目指す必要があります。

    3. 高速なレスポンスが非常に重要

    家にいるときでも、慌ただしく過ごしているのが現代人です。スマートスピーカーの前でじっと座っている人はなかなかいません。ユーザーの要求に対して即座に対応し、高速なレスポンスを提供することが欠かせません。

    現在の利用シーン

    スマートスピーカーは自宅、とくにリビングやキッチンでの利用が広まっているようです。次点は寝室となっております(NPR、Edison Research 調べ)。やはりリラックスする時間の長い空間ではとくに、音声操作のメリットがありそうです。寝室で利用されるケースは 「眠る前に音楽を聞く」 「目覚まし時計として利用する」 など、快適な睡眠をとるために利用されています。

    最後に

    スマートスピーカーは、まだ未熟で役に立たないデバイスのように思えますが、あっという間にスマートホームや IoT における活用など、人々の生活に深く入り込む機器として普及が進むでしょう。フォルシアではお客様のサービス強化におけるご提案や、明確に決まっていない中でのコンサルティングも可能です。お気軽にお問い合わせください。
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