Case study顧客企業様の事例紹介

<小田急電鉄様>目指すはオンリーワン 新しい箱根旅の実現

2023.05.16

Travel webコネクト 外部連携(GW) 電子クーポン

先日、小田急電鉄社が運営するホームページ 「箱根旅行の予約システム」がリニューアルされ、従来のパッケージ旅行商品に加えて、新たにダイナミックパッケージが販売開始されました。フォルシアはそのリニューアルに際し、商品販売プラットフォーム「webコネクト」を提供しました。

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今回は、そんな小田急電鉄様に今回のリニューアルプロジェクトについて、そしてフォルシアのwebコネクトを導入していただいた背景についてお話しいただきました。企業のWebサイト刷新ご担当の方にご参考にしていただければ幸いです。

今回お話を聞いたお客様
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小田急電鉄株式会社
観光事業開発部 課長
グループ旅行業担当
野田 健一様

観光事業開発部 課長代理
グループ旅行業担当
関 隆宏様

※ 所属はインタビュー当時のものになります。

小田急電鉄の事業について

ー 貴社のサービスについてご紹介をお願いします。

当社の観光事業としては、ロマンスカー、箱根フリーパス、海賊船、ロープウェイ、登山鉄道という形で、主に新宿から箱根に移動して滞在する際の公共交通機関やインフラ装置を提供しています。現行では「ロマンスカーで行く箱根」が主力商品の一つですね。移動から滞在して現地でアクティビティを楽しむまでを一体として観光体験していただけるような旅行商品を、店舗とオンラインで販売しています。

小田急電鉄としては、小田急グループが扱う公共交通機関の利用促進の一環となる施策を企画・立案・実行したり、小田急グループの宿泊事業者や現地の事業者と連携して小田急トラベルの旅行商品を販売したりする役割を担っています。

ー ご利用客の傾向があれば教えてください。

当社の強みはロマンスカーですので、当社の個人旅行をご利用いただいている約80%のお客様がロマンスカーと宿を組み合わせた商品「ロマンスカーで行く箱根」をご購入されています。年齢で言うと、20-30代で車を持っていないお客様、DINKSのご夫婦や、子育てがひと段落した40-60代夫婦など、2人で旅行されるお客様が非常に多いです。逆に言うと、ファミリーのお客様は自動車で移動されるケースが多いのか、利用者数としてはそこまで多くありません。やはり公共交通機関を利用して旅行したいというニーズをもったお客様のご利用が多いです。

ー 店舗とオンラインでの利用傾向はありますか?

店舗に来ていただいているお客様は60-80代くらいの方々が中心になります。それよりも下の世代の方々になるとオンラインでのご利用が多く、特にスマートフォンでのご利用が8割と目立っています。その世代のお客様は、お仕事やプライベートでスマートフォンを使うことに慣れていることもあり、スマートフォンで当社の旅行商品を購入してくださるボリュームゾーンだと認識しています。

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webコネクト導入背景

ー 今回フォルシアのwebコネクトを導入していただいた背景を教えてください。

現在、当社は大きなビジネスモデルの転換期にあると思っています。現行、小田急電鉄の旅行部門である小田急トラベルでは特急券・乗車券類は紙(磁気券とよばれるもの)でお客様に販売してお渡ししています。この数年、旅行店舗が減って、スマートフォンでのオンラインご購入が増えてから、お客様のスマートフォンがあたかも店舗であるかのようなユーザー体験をしていただいています。旅行商品を購入していただいたあとの旅行中も、特急券・乗車券、現地観光施設のご利用も含めて一括してスマートフォンで行えるように提供していく。そのようなビジネスモデルへシフトしていく過程において今回の構想を検討し始めました。販売チャネルを検討している中で、フォルシアさんが旅行業界のシステムに強いという話を聞いていました。

ー 新型コロナ流行は今回のビジネスモデル転換に影響しましたか?

オンライン化の構想はそれ以前からありましたが、新型コロナ流行が一つのきっかけになったことは否めません。お客様自身の行動意識の大きな変化がありました。まず店舗に来店しない。これまではスタッフが対面して接客していた日常が、コロナ禍を経て、お客様と相対(あいたい)することがなくなったということが結果的にビジネスモデルを変革せざるをえなかったという要素もあるかと考えています。

ー フォルシアにお声がけいただく前、システム刷新前にどのようなお悩みや課題を抱えていたのでしょうか。

業務的な視点で言うと、ロマンスカーのチケットは紙で発券して郵送していたので手作業が結構な負担でした。そのような部分をスリムにしたい、という思いはありましたね。そのためにオンライン化が必要でしたが、既存のシステムでは当社グループが推進する共通データ基盤MaaS Japanと連携することが難しかった。どうしたものかと悩んでいたときに、フォルシアwebコネクトには外部連携システムの機能があるということを聞いて、解決への糸口になると思いフォルシアさんにお声がけしました。また、私たちのビジネスと切り離すことのできない箱根に関しての課題もありました。一度だけでなく、二度三度箱根に足を運んでもらうためにはどうしたら良いのか。そういう意味では、私たちは鉄道会社である小田急電鉄ですので、旅行会社の視点というよりはインフラ装置をまわすための仕組みとして考えています。

ー オンライン化を進めるにあたってのねらいは旅行客の利便性向上でしょうか?

利便性向上もそうですし、鉄道ビジネスの観点で言うと、「定期以外のお客様を増やす」という点もポイントですね。新型コロナの流行前は「毎日週5日新宿まで出勤していた」という定期券をご利用されていたお客様が、「週1回しか新宿に出勤しなくなった」となると、鉄道の売上が下がります。そこで、箱根や小田原の魅力が伝わるようなコンテンツを作り、お客様に届けることによって小田急線を使って箱根や小田原に足を運んでもらうと結果的にそれが旅行収益にもなるし、小田急グループの公共交通機関の利用促進にもなります。いかに定期以外のお客様を増やすための施策を打てるか。より電車に乗ってもらう、公共交通機関を利用してもらうというところは、真意としてありますね。

フォルシアに対する印象

ー webコネクトを導入された決め手は何でしょうか?

主には、互換性、コスト、検索スピード、の3つの要素があります。中でも、webコネクト自体の機能として、在庫などの大量なデータを入れたときの検索速度が速いという点をフォルシアさんから聞いたときにそこは魅力的に感じましたね。間違いなくそこは選定の理由になりました。

また、他社のダイナミックパッケージのページを閲覧しているときに、"powered by FORCIA"のロゴをよく見かけていたので、検索領域において優れている会社だという印象をもっていました。実は、今回コンペもせず最初からフォルシアさん一択でした。フォルシアさんは検索領域では実績はあるけれども、今回のようにフルパッケージで一から共同開発を行うケースは初めてだと聞いています。
そうだとしても、旅行業界の知見と実績は間違いなくあるので、一から一緒に作るパートナーとして信頼できると感じて導入を決めました。あとは、物理的に当社から近い新宿のオフィスという点もよかったですね(笑)。

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ー フォルシアの担当営業・エンジニアと一緒にプロジェクトを進めていただいた感想を教えてください。

ノウハウを貯めながらかなり長い間議論してきました。前述のMaaS Japanとの接続は見えない部分も多かったので、関係各所との事前検討から進めて本契約に至りました。そうした中で、フォルシアさんの担当営業・エンジニアは当社の「こういう風にしたい」という要望を本当によく汲んでくれました。ただ単にこちらの要望に対して「はい、わかりました。やります」ではなくて、「御社が考えていることはこういうことですよね?」というように、私たちの実現したいことに寄り添って議論をしてプロジェクトを進めてくれたということが印象に残っています。

一般的にはスケジュールが詰まってくると、言われたことをただやるということになりがちですけど、開発期間が短い中でも私たちの「実現したい」ということに対して「検討します」とまずは応えてくれて、最後までしっかりと考えてくれていたのが好印象でした。

ー webコネクトの気に入っている点や期待している点はありますか?

導入の決め手にもなった検索スピードには期待しています。あとは、今のシステムは当社で仕入れている在庫しか使えない状況なので、TLリンカーンと接続したり別のところと連携したりして、共通在庫を活用していける点が良いです。

webコネクトは他社実績があるので、私たちが連携したいと思っている先とスピーディーに作業の連携ができる点は、改めて良かったと感じます。他社実績がないとなると、一から話をして時間もコミュニケーションコストもかかってしまいますもんね。

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「箱根旅行の予約システム」ダイナミックパッケージ画面イメージ

ローンチ、その後の展望

ー ローンチまであと少しですが、どのようなお気持ちですか?(※インタビュー当時はローンチ前)

ローンチの直前まで極力UXを改善したいという気持ちがあります。ローンチした後にUX改善するという選択肢もあると思うのですが、今すでにUX改善できる箇所があるのであれば先に改善してしまいたいのです。フォルシアさんとしてはこのタイミングであれもこれも言われるのは大変だと思うのですが・・・(笑)。

ただ、やはりお客様がWebサイトをご利用される際に使いやすい方が絶対に良いので。お客様からご指摘をいただく前に私たちで気づいている部分は直していきたいと思っています。

社内でも新しいシステムに対して期待に満ちたワクワク感があります。観光事業以外にも、本件に関わっているMaaS Japanのチームのメンバーも、MaaSを使ってチケットを販売していくことによってお客様にMaaSが浸透していくことを期待しています。

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ー 今後のビジネスの展望を教えてください。

「オンリーワンになる」を一つのミッションに掲げています。私たちの旅行事業である小田急トラベルは海外・北海道・沖縄など様々なエリアの旅行商品を取り扱ってきました。それを今回の個人型旅行商品においては箱根に絞っています。箱根に絞りつつも、箱根に関しては特化して徹底的に深化していきたいと考えています。交通だけでなく、たとえば小田急のWebサイトでは様々な体験プログラムを取り揃えて色々な体験を選んでいただけます。一つのエリアの「オンリーワン」として、個人型旅行商品を変革していければと思っています。

もう一つのミッションとしてはUI/UXです。お客様がスマートフォンで旅行商品を購入する際に使いづらかったら購入には至りません。せっかくお客様が忙しい中で当社の旅行商品を見に来てくれているのだから、一分一秒でも速いスピードで、使いやすくする。担当の関には「スティーブ・ジョブスになれ」と伝えています(笑)。シンプルを極め、「わかりやすく、使いやすく」を追求していく。結果的に、そこでお客様が当社の旅行商品を購入してくださったら、私たちがもっと機能改善したいという原資が生まれてくるので、それが当社にとってもフォルシアさんにとってもプラスに働くと思います。チーム一体となって今回の新しいビジネスモデルの改革を展開してミッションを遂行していければと思います。

このインタビューをお読みになる方にメッセージをお願いします。

私たちがフォルシアさんと開発を進めていく上で感じたのは、事業者側がビジョンやコンセプトを明確にしておいた方がその後の進め方がスムーズだということです。システムはあくまでツールでしかないので、導入しただけで急激に何かが改善 するというケースは少ないかと思います。フォルシアさんのシステムを導入することによって、「何を実現したいのか、目標は何か、どのような価値を生みたいか」をフォルシアさんも含めて議論していくことをお勧めします。

企業プロフィール
小田急電鉄株式会社様

小田急電鉄は、小田急グループの経営理念である『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献する』ため、基幹事業である鉄道事業を中心に、不動産業やその他事業を展開し、沿線価値の向上に取り組んでいます。
今後もロマンスカーを利用した箱根旅行をはじめとした、小田急線での旅行の利便性向上を目指します。

小田急電鉄公式ホームページ
https://www.odakyu.jp/

小田急トラベルホームページ
https://www.odakyu-travel.co.jp/

<参考>

  • webコネクトサービス構成イメージ図

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