<トラスコ中山様> モノづくり現場を支える次世代のECサイト 尽きることのない利便性への探求
各企業が独自に持つ膨大で複雑なデータに合わせて、最適な検索を実現するための「技術基盤」であるSpook(スプーク)。
今回は、Spookを導入いただいているトラスコ中山様に、2025年2月に行われたECサイト「オレンジブック.Com」のユーザー向けサイトのリニューアル背景をお聞きしました。
企業のWebサイト刷新ご担当の方にご参考にしていただければ幸いです。
トラスコ中山について
― 貴社のご紹介をお願いします。
当社はモノづくり現場で必要とされるプロツールの供給を流通で支える専門商社です。
モノづくり現場では、プロツールと呼ばれる手作業工具や電動工具、保護具、切削工具といった消耗品が必要とされているのですが、それらを卸の立場でモノづくり現場に供給するサプライヤーという役割を担っています。
― その中で、池上様が所属されているデジタル戦略本部とUXプラットフォーム開発室が担われている役割を教えてください。
サプライチェーン全体では一部でデジタル化が進んでいますが、受発注や見積、問い合わせ対応など、人手に頼る業務が多く残っています。こうした課題を解決するには、デジタルの活用が不可欠です。当部署は、自社の生産性・効率性の向上に加え、サプライチェーン全体の業務効率化と利便性向上をデジタルの力で実現する役割を担っています。
ユーザー向けサイトのリニューアルについて
― 2025年2月25日、「オレンジブック.Com」のユーザー向けサイトが刷新されて、名前も「オレンジブック.Com クロス」になりました。詳細を教えていただけますでしょうか。
「オレンジブック.Com」は、工場や作業現場で使用されるプロツールの総合サイトで、主に販売店様が当社への見積や注文、価格・在庫の確認に活用しているサイトです。
この度新たにリリースされた「オレンジブック.Com クロス」は、サプライチェーン全体の効率化を目指し、ユーザー様向けの機能を強化したもので、ユーザー様が必要な商品を簡単に見つけ、販売店様経由で購入することができるサービスとなっています。
― 「販売店様」と「ユーザー様」の違いを教えてください。
当社の直接のお客様は販売店様で、販売店様を通じて商品を購入するお客様をユーザー様、と呼んでいます。もともと「オレンジブック.Com」というサイトでもユーザー様が販売店様経由で商品を購入することは出来たのですが、「オレンジブック.Com クロス」はユーザー様の利便性がさらに向上したサイトになっています。
― 従来は「オレンジブック.Com」があらゆる種類のお客様に対応する役割を担っていたのですね。
そうですね。ざっくりお話しすると、「オレンジブック.Com」というECサイトは、下記のように大きく3つに分かれています。
当サイトには、どなたでも商品を検索できる「検索サイト」としての機能があります(① ※購入は不可)。そこからログインすると、2つの利用形態に分かれます。1つは当社と直接取引のある販売店様向けの「販売店様向けサイト」(②)、もう1つは販売店様を通じてユーザー様が商品を購入できる「ユーザー様向けサイト」(③)です。
今回リニューアルしたのは③の「ユーザー様向けサイト」で、新たに「オレンジブック.Com クロス」としてリリースされました。
― サイト刷新にあたってこだわったポイントを教えてください。
まず重視したのは、「ユーザー様にとって使いやすいサイト」であることです。
これまで、ユーザー様が必要な商品を見つけても、価格や納期がすぐに分からず、販売店様に見積りを依頼する必要がありました。依頼手段はメール・FAX・電話など様々で、販売店様も多数の見積りに対応しなければなりません。販売店様で完結できない場合は問屋へ、さらにメーカーへと依頼が回り、回答に2〜3日かかることもあります。
そこで、ユーザー様自身が価格や正確な納期をすぐに確認できるようにすれば、問い合わせの手間を省け、サプライチェーン全体の効率化につながると考えました。
その実現の鍵は、「必要な商品を素早く、簡単に見つけられること」です。
しかし当社のECサイトは、検索精度に大きな課題を抱えていました。現在3つのサイト形態すべてで、フォルシア様のSpookを導入していますが、その活用が不十分だったのです。
当時、月間600万回以上の検索がありながら、ユーザー様が満足するレベルには達していませんでした。この精度を高めることが最優先課題であり、フォルシア様と共に現行ロジックの課題を徹底的に分析し、どうすれば改善できるかを議論し続けました。
フォルシアとのプロジェクト推進について
― 弊社とプロジェクトを進めていく中で実際に感じられた、フォルシアの価値があれば教えてください。
フォルシア様には、ITコンサル1名、エンジニア2名の3名体制でご対応いただきました。どのミーティングにも基本的に3人全員が参加されており、その姿勢からも本気度が伝わってきました。
その場で技術的な課題や規模感、解決策について議論できたため、選択肢として残すか否かの判断もしやすかったです。
また、「できません」と言われることがほとんどなく、難しい課題にも真摯に向き合ってくださいました。我々の目線に立ち、一緒にどう解決するかを考えてくれた姿勢に、とても助けられました。どの議論でもそのスタンスは一貫していました。
― プロジェクトを進めるうえで、一番大変だった点を教えてください。
検索ロジックの検討は、「何が正解なのか分からない」という手探りの状態から始まりました。課題は明確にあるものの、どのようにすれば検索精度を高め、サイト全体の品質を向上させられるのか、その具体的な道筋は見えていませんでした。
そのような中で、当社ECサイトならではの課題についてフォルシア様に共有し、ご提案いただいた内容をもとに、試行錯誤を重ねながら改善を進めていきました。トラスコ側でも検証を繰り返し、さらに新たな懸念点が生じた際にはその都度やり取りを行い、一つひとつ丁寧に課題を解消していきました。
文面だけでは伝わりにくい内容については、担当のITコンサルタントの方と何度も電話やオンライン会議、時には、大阪・東京のロケーションでしたが、対面でディスカッションを行い、認識のすり合わせに努めました。検索結果の"良し悪し"は、実際の業務やユーザー様目線を踏まえた当社側でなければ判断しきれない部分も多くあり、そうした意向を的確にくみ取り、反映していただけたことは大変心強く感じております。
日々の密な議論を通じて少しずつ仕組みを形にしていったプロセスは、「共に創り上げた」と自信を持って言えるものであり、どのような難題に対しても真摯に向き合い、最適な解決策を追求される姿勢には深く感銘を受けました。毎回の打ち合わせが楽しみになるほど、フォルシア様の寄り添う姿勢は私たちにとって大きな支えとなりました。
今後の展望
― プロジェクトの始まりから約1年半もの時間がたち、ついに2025年2月25日に「オレンジブック.Com クロス」がリリースされました。今のお気持ちを教えてください。
リリースを迎えましたが、これは決してゴールではなく、ここからが本当のスタートだと感じています。
検索領域においては、まだまだ取り組むべき課題や実現したいアイデアが多くあります。たとえば、絞り込み検索の精度向上や、キーワード検索への最新技術の導入など、さらなる進化を目指していきたいと考えています。
Spookを活用しつつ、先進的な技術との融合を図りながら、今後も共に歩んでいければと考えております。
― 最後に、メッセージをお願いします。
フォルシア様については、これまでお伝えしてきた通りです。常にベストを尽くしてくださる姿勢に、今回も大変助けられました。また、常により良いサービスを追求し続ける印象のある会社ですので、今後も継続的にお付き合いしていきたいと考えています。社会の変化は非常に速く、当社も自社ECサイトを継続的に進化させていく必要があると感じています。私たちはEC専業ではありませんが、ユーザー様の多くは日々、大手ECサイトを利用しており、そうした中で私たちのサイトにも一定の期待が寄せられます。弊社ならではの強みや特性を活かしながら、時代に合った価値を提供し続けていくことが重要だと考えています。今回のリニューアルも、その取り組みの一環であり、ゴールではなく新たなスタートです。
そして、ECサイトの中核となるのは「検索」です。今後もフォルシア様とともにスピード感を持って課題に取り組み、利便性の高いサイトづくりを目指していきたいと思います。
企業プロフィール
トラスコ中山株式会社
生産現場で必要とされる作業工具、測定工具、切削工具をはじめ、あらゆる工場用副資材(プロツール)の卸売業です。 プロツール唯一の総合カタログ「トラスコ オレンジブック」を年間約15万部発刊、プロツール検索サイト「トラスコ オレンジブック.Com」では約455万アイテムを公開し、モノづくり現場の資材調達の利便性向上を使命に企業活動を行っています。
TRUSCO オレンジブック.Com https://www.orange-book.com/ja/c/index.html
ニュースリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000001577.html