<アズワン様>7万点から1000万点まで 増え続ける商品に対応できるシステム作りにかけた思い

2024.09.26

検索技術基盤Spook DX

フォルシアが創業以来提供しているSpook(スプーク)は、各企業が独自に持つ膨大で複雑なデータに合わせて、最適な検索を実現するための「技術基盤」です。各社の課題を解決してきた知見を集積した共通基盤をライセンス提供して、大量で複雑なデータを保持するお客様のサービスを支えています。

今回は、そんなSpookをECサイト立ち上げ当初から導入いただいているアズワン様にお話をお聞きしました。企業のWebサイト刷新ご担当の方にご参考にしていただければ幸いです。

今回お話を聞いたお客様

pic_01.JPGアズワン株式会社
eコマース本部 UXデザイン部
AXEL企画グループ
グループ長
米増 恭平様

DX推進本部 DX推進部
ITソリューショングループ
スーパーバイザー
太田 草子様

サプライチェーン統括本部
商品DB推進部
商品データベースセンター
スーパーバイザー
管本 真未様

※ 所属はインタビュー当時のものになります。

アズワン・AXELについて

貴社のご紹介をお願いします。

当社は理化学機器や医療機器を取り扱っている専門商社です。元々は紙カタログを介してお客様に販売している会社でしたが、お客様のニーズもあり、2015年からAXELというWebサイトを立ち上げて、現在はWebサイトと紙カタログの二軸で販売しています。

AXELを立ち上げられてから10年が経とうとしていますが、当時と現在とでどのような点が変わりましたか?

商品点数だけで言っても大分変化がありましたね。当時、辞書よりも分厚い紙カタログのラインナップがいくつかあり、それらを合わせても商品点数が7万点程度でした。そこからAXELを立ち上げることになり、当初は「100万点掲載できるWebサイトを作ろう」という目標で、フォルシアさんにも100万点の前提でWebサイトを設計してもらっていました。「100万点もの商品を取り扱うことができるのか」と思っていたら初年度で目標を達成。達成感に浸る暇もないまま次の新しい目標が立てられていき、あれよあれよと昨年度1000万点に到達。次の目標は1200万点です。社内では「1000万点が一つの区切りだね」と言われていたはずなのですが(笑)。

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7万点から見たら100万点でも何年もかけて達成する商品点数だという印象がありますが、あっという間に達成されたのですね。

私たちも頑張ったし、フォルシアさんもそれに耐えられるWebサイトを構築してくれました。紙のカタログと違い物理的なインパクトがないので、他の部門の人からすると「データ件数?ふーん」という感じかもしれませんが(笑)。
AXEL
という商品を登録できるシステムがあって、そこから売れるということで仕入先様からもどんどん「商品を掲載してください」とご提案をいただけるようになったことが、加速度的に商品点数が増えている要因だと考えています。これからも仕入先様から商品掲載を提案してもらえるような良いサイクルを回していきたいです。

100万点到達後に、1000万点へと増やしていく過程では、システムインフラや、データ処理などなど、見直さないといけない箇所がたくさん出てきたのですが、システムを安定稼働させた状態で、それらについても対応していただいたので、フォルシアさんの検索技術基盤Spookは、私たちの感覚からすると「何万点でも登録できる」という安心感があります。引き続き一緒に増やしていっていただければ幸いです。

お客様ニーズの変化について

アズワン様にとってECがビジネスの中心になって、お客様の反応やニーズに変化はありましたか?

AXELを立ち上げる以前から、検索性能はプアでしたが、7万点の商品が閲覧できるWebサイト自体はありました。当時は紙カタログの情報をWebで閲覧できるだけで、商品が購入できるECサイトではありませんでした。ECとして一般公開してアズワンとして展開していく、ということになりますと、当社は販売店様と二人三脚で販売するビジネスモデルなので、当然販売店様の商圏を侵すようなことは本意ではありません。販売店様に誤解を与えないために、AXEL立ち上げの意図を丁寧に説明することが何よりも重要でした。47都道府県を全国行脚して、「AXELは販売店様の商流を維持した状態で新たなお客様とつながるためのものであり、販売店様のユーザー様にもっと簡単に注文していただくためのものです」と説明して周りました。立ち上げてからは、前述のとおり商品点数を増やしたりSEOに力を入れたりして、その存在価値を高めることに注力してきました。今では、販売店様もGoogleで「アズワン+品番」と検索してAXEL上で在庫を確認するなど、前向きにAXELを活用いただいています。

販売店様のご理解も得ることができて、売り上げも伸びて、AXELの立ち上げは大成功でしたね。

そうですね。ただ実は、AXELの会員登録をしてそこから買い物をしているお客様は、会社の全体売上からするとほんの数パーセントなんです。それ以外のお客様はAXELを見て既存の販売店様に注文されたり、販売店様がユーザー様から依頼を受けて商品を探すためにAXELを使ってくれたり、という感じです。あとは、AXELの検索エンジン(=Spook)と商品データをベースとした兄弟分のようなサービスとして、oceanというユーザー様向け購買システムと、Waveという販売店様向けECサイト構築システムがあり、どちらもログインが必要なクローズドなサイトなのですが、AXELで探した商品をそちらで買ってくれるということもあります。ですので、むしろAXEL以外のECの売上も順調に伸びています。最初からそのように販路やサービスを跨いで活用されたら良いとは思っていましたが、「こんなにうまくかみ合うとは」というのが正直な感想ですね。

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サービス立ち上げから約10

この10年で印象的だった出来事はありますでしょうか?

やはり新型コロナウイルスの感染流行でしょうか。当社のサービスでは医療向けの商品も取り扱っているので、国内で新型コロナウイルス感染が流行し始めたときには大きな影響がありました。

パーテーションや、アイソレーションガウン、マスク、消毒液など医療現場で使用される商品が品薄になったときは、当社の仕入の部署も販売の部署もサーバーもエマージェンシー状態でした。ただ、これがAXELを立ち上げる前だとしたら、商品の在庫を確保することができてもすぐにお客様に情報提供できる手段がなく、チラシを製作して配る、営業マンが販売店さんに足を運ぶということをしていたかと思いますが、今回はAXELのシステムが確立していたので例えば「マスクの在庫が確保できそう。AXELに即掲載しよう」という状況になったとき、最速で一両日以内に販売可能な状態にできていた、というのはポジティブな印象として残っていますね。当時は本当にエマージェンシー状態だったので、到底「よかった」とは言えない状況でしたが・・・。

私たちとしても、それらの商品を本当に必要とされている医療機関に素早く確実に届けたい、という思いが大変強くありました。そういう意味では、医療機関のお客様にマッチした売り方ができたと思っています。実際にその頃から、ページを見てくれる人の数や、会員登録者数が格段に上がりましたし、一方で感染流行が落ち着いたら売上がダウンするかというと、幸いなことに、そのようなこともありませんでした。感染流行が落ち着いてからも継続してAXELに来てくれるお客様が多く、そのことは嬉しく感じています。

フォルシアの関わり方としては、AXELSpookを導入していただいてからocean, Waveと、他のサービスにも展開していただいています。どのような経緯で複数サービスに展開していただいたのでしょうか?

前述した、AXELができる10年以上前から存在していたoceanというWebサイトは、元々販売店様の先のお客様の「自社の購買システムと連携(カタログパンチアウト)して商品を選択し、注文ができる仕組みが欲しい」というニーズに応えて作りました。今のAXELのような商品検索機能はなく、紙カタログで商品を探して品番を打ち込む程度の電子カタログのようなものでしたが、その傍らでAXELをスタートしました。最初の頃は完全に別物のサービスとして展開していましたが、そのうちにoceanユーザー様からも「AXELって検索できるよね、商品数も多いよね」とAXELの評判が上がっていきました。oceanにも同様のクオリティのニーズが出てくるようになり、「oceanも裏側の商品検索システムをAXELと同じものにしよう」ということになり、Spookを導入することになったという経緯があります。ねらいどおり、お客さんの評判も良くて、続々とお客様のシステムを切り替え、ご提供できる商品も増やすことができました。また「自社ではWebショップを作りたいけどノウハウがない」という販売店様向けのECサイト構築システムとしてWaveを作ることになり、その裏側でもSpookに活躍してもらっています。お客様の数も増え、提供できる相手の幅も広がりました。

pic_05.png豊富な絞り込み条件があるAXEL

フォルシアについて

フォルシアのSpookで気に入っていただいている点はどこでしょうか?

他のシステムにはあまりない部分として、ユーザー様や販売店様のシステムであるoceanWaveにおいては「この企業様にはこの商品を見せる」という出し分けを行っています。実はお客様と品番との組合せでカウントすると何十億という桁数をさばいてもらっているので、本当に良いシステムを作ってもらっていると思っています。バックグラウンド検索のような新しい仕組みに対応するときにも柔軟に立ち回ってもらっているので助かっています。
フォルシアさんには、「お客様に商品をお見せする」という当社のビジネスの中心的な役割を一緒に担っていただいています。Spookを導入した10年前、戦略や計画はありつつも、現場では「とりあえずやるしかない!」というようなノリでしたが(笑)、そこからデータも増えていき、どんどん作りこんでいこうというチャレンジングな状態にワクワクを感じます。

oceanはユーザー企業様の購買システムという位置づけ上、AXELと比較すると慎重に手堅い動きが必要となるので、Spookを導入するタイミングは遅かったものの、最近ではAXELにだけある機能に対して、「何でAXELではできるのにoceanではできないの?」というような意見が出るくらい、AXELと同様新しいことにもチャレンジしてきています。そういう意味では、横の方にいたSpookがこの10年で当社の中心の方に来ましたね。

人間は新しいサービスにもすぐに慣れてしまうものなので今となっては実感されないと思いますが、現在のAXELは最初に作ったAXELから大分進化しています。フォルシアさんと一緒に「こういう機能も作りましょう」とたくさんの機能を二人三脚で追加・改修をしてきました。実はその中にも当たりはずれもあるので全然使っていない機能もありますが...必要なチャレンジだったと思っています(笑)。

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Spookを使ったシステムでビジネスの成長を実感してくださっているということを大変嬉しく感じます。フォルシアとの10年で特に印象に残っているエピソードはありますか?

SEOを一緒に取り組んでいただいたことは思い出深いですね。結果的に、当社のビジネスの成長にも功を奏しています。Spookを導入してから2, 3年ほど経った頃、「AXELのサービス拡大にはお客様の間口を広げることが大事なので、SEOを強化しましょう」と当時のフォルシアさんの担当者の方から言われました。ただ、私たちはSEOの知識もあまりなかったので、フォルシアさんにSEOの会社のあたりを付けてもらったり、その中から選定するための面談にも一緒に付いてきてもらったりと、リードしてもらいながら進めました。

一社に選定をしてからは、SEO会社からの「この部分をこのように直しましょう」という提案に対して、フォルシアさんはプログラムでの改修を、アズワンはデータの修正という役割分担ではあったのですがそうした役割分担を忘れるくらい積極的に関わり、たくさんの提案をしてくれて、3社で毎月定例会をして、進捗管理もして、別々で行っていたら確実に3倍は時間がかかっていたようなことをスピーディーに進めることができました。これはフォルシアさんに任せきりにしていても、私たちだけ頑張ろうとしてもできなかったことだと思いますね。

あとは、弊社独自のサービスを始めたいと相談したときに、その方法や改修する部分についてしっかりと考えてくださって、世間にはない当社だけのシステムを一緒に構築していただきました。それが、当社の成長の強みにもつながっています。
先述のSEOの件も然り、この「一緒に考えてくれる」という部分がフォルシアさんにはとても強くあるように感じます。

それでは、フォルシア社員に対してはどのような印象がありますか?

フォルシアのエンジニアさんはプログラミングのスキルがとても高いので、随所で「へー、そんなことするんだ!」というようなことをしてくれます。oceanの何十億件のデータ処理を速くする際など、様々な場面で驚かされました。

あとは、営業の方がかなりテクニカルなところまで押さえているというイメージがあります。システム会社の営業というと契約書関連だけ対応して実質エンジニアがPM(プロジェクトマネージャー)というベンダーさんも少なくないですが、フォルシアさんは営業の方がしっかりとプロジェクト全体をコントロールしているからこそ、エンジニアの方が技術的な部分に集中できているように見えます。トラブル発生時も営業の方が詳細な内容まで報告してくれるので、しっかり勉強されているし、コミュニケーションが取れているのだなと感心します。エンジニアの方には技術を突き詰めていただいてそこでやりたいと思ったことをやってもらいたい、というフォルシアさんが大切にされているであろう部分には非常に共感できます。
実際、フォルシアのエンジニアさんは、積極的に新しい技術を「試してみませんか?」と提案してくれていました。私たちもチャレンジングな場であり続けたいと思っているのですが、皆さんからもチャレンジングな場だと思ってもらえていたら嬉しいですね。

共感していただけて嬉しいです。この10年で、フォルシアの担当者が何度か替わっていますが、そのことで苦労されたことはないでしょうか?

私たちはこの10年、大きなメンバー変更もなくAXELを担当し続けているから尚更、フォルシアさん側の担当の方が替わる際には寂しく、残念に思います。ただ、人は替わりながらも毎度能力やスキルが高い方に担当していただくので、安心して任せられます。
アジャイルで開発をしているとフォルシアさんの新しい営業の方が付いてくるのは難しいと思いますが、皆さんきちんとキャッチアップされていて。昔のことも「こういう経緯でこうなんですよ」と伝えると、「じゃあここに課題があるんですね」と的確に状況を捉えて課題感を理解してくれます。エンジニアの方もですが、どのように継承しているのか疑問に思うくらいすごいなと感じています。

さいごに

アズワンさんの今後の展望を教えてください。

元々は営業本部の傘下にあったEC部門がEC本部として独立したくらい、当社ではECにもビジネスの主軸を置いています。今後も普通のECサイトには売っていないような専門性の高い商品や幅広い商材と、お客様が欲しいと思ったときに買えるような仕組みを構築していきたいです。
また、販売する対象の幅を広げたいというのは考えています。物販の拡張でレンタルラボはすでにありますが、現在はそれを無理やりECで売っている状況なので、より適切な訴求の仕方を追求していきたいです。当社は、「研究者の予算がない・時間がない・もったいない、といった3つのないを解決し、研究に集中していただく」ということをミッションに掲げているので、それらを実現するためのレンタルや修理のサービスは積極的に取り組んでいきたいですね。

もう一点、スペックでの絞り込みが重荷になってきたという課題感があります。紙のカタログにある7万点をAXELに載せよう、スペックによる絞り込みで探せるようにしよう、という当初の考え方は今も正しいと思っているのですが、それが100万点、1000万点になったときにも果たして正しいと言えるのか、従来の手法を見直さなければいけないと考えています。今は長さ100メートル、容量100ミリリットル、というような属性情報を人手で入力しているのですが、それが全然追いつかなくなってきています。その人手では無理な部分をAI化できないか、という話が出ています。AIに任せられる部分は任せてしまって、いかにメンテナンスを効率化できるか、という点は今後の課題ですね。試行錯誤しながらにはなると思いますが、引き続きどんどん新しいことにチャレンジしていきたいです。

 

企業プロフィール
アズワン株式会社


研究・医療にまつわる商品・サービス・情報をワンストップで提供する専門商社。東証プライム上場。カタログという媒体を通じ、「ビーカーひとつでも直ぐにお届けする」というビジネスモデルを掲げ、科学機器分野から、産業機器分野、病院・介護用品分野まで幅広く成長分野へ参入。今では、紙のカタログからウェブに媒体を広げ、ウェブ商品検索サイト「AXEL」では、取扱点数1200万点へ向け日々商品ラインナップを拡充中。

総合検索サイト・Webショップ「AXEL」
https://axel.as-1.co.jp/